「私生活上の問題行動型」のグレー職員への対応
次のA〜Cのような案件は悩ましいです。
【A】営業機密は漏えいしていないが、ソーシャルメディアなどで社内の事情を掲載している
【B】社外で新興宗教や政治活動などの勧誘行為を繰り返す
【C】社外で盗撮行為をして警察に逮捕された
Aは、「営業機密などは漏えいしていないが、ソーシャルメディアなどで社内の事情を掲載している」というケースで、「○○主任に残業を強制された」「人手が足りないから、仕事がきつい」などの、社内の事情が分かるような書き込みをしているなどが該当します。
個人のアカウントであっても勤務している社名がプロフィールに入っている場合もあり、読む人が読めばどこの事業所か分かり、誰のことを言っているかまで分かる場合もあります。
Bは、「社外で新興宗教や政治活動などの勧誘行為を繰り返す」ケースです。
業務時間中や社内であれば、たとえ休憩時間であっても、ほかの職員の自由を妨げ、職場の秩序を乱す恐れがあることから規制や処分が可能ですが、それ以外の時間・場所で、業務上知り得た社員の連絡先などを使って、勧誘行為をするなどが該当します。
Cは、「盗撮・痴漢が発覚し、現行犯で逮捕された」「酒に酔い、ケンカをして暴行・傷害事件を起こした」など、社外で起こした事件・事故が該当します。
私生活上の問題行動型に共通の前提
注意すべきは、職員の就業時間外=私生活の時間帯には、企業は賃金を支払っていないので、指示・注意は原則としてできない、ということです。
職員が会社帰りに居酒屋で酒を飲みすぎても、その時間には賃金を支払っていない以上、「酒を飲みすぎないように」という業務指示は出せないのです。
最高裁も、労働者は「企業の一般的な支配に服するもの」ではない(富士重工事件 最三小判昭52・12・13)と注意を喚起しています。
ただ、就労時間外であっても、職員は、企業の名誉・信用を毀損しない義務を負います。
「○○商事の職員」「○○病院の職員」というブランドは、勤務が終了し帰宅途中の居酒屋で酒を飲んでいても背負っているわけで、「職員」が何かハレンチなことをすれば、「○○商事」「○○病院」の名誉・信用が毀損されるリスクがあるからです。
よって職員は、信義則の一環として、かかる企業の名誉・信用を毀損しない義務を負っています。
私生活上の問題行動も、かかる観点から対応が検討される問題です。
【情報提供元】
デイの管理者&リーダー「だよりね」
【学ぶ】
■介護制度と報酬改定への対策&デイサービス見学会
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