
本人はどう思っているのでしょうか?
「やるべきことがある気がする」
記憶障害や見当識障害の影響で、場所や時間の感覚があいまいになり、「ここにいる理由が分からない」「何か大事なことを忘れているかもしれない」といった不安から歩き回っているのかもしれません。
「必要とされたい」
もともとの性格や価値観として、「人の役に立ちたい」「なまけたくない」という気持ちが強い方もいます。
孤独感や身体の不快感(排せつの不安・便秘・脱水など)も、「じっとしていられない」行動につながることがあります。
NG!対応
「ここに座っていてくださいね」
「危ないので一人で歩かないでください」
本人の気持ちや理由に目を向けず、行動を止めようとする。
行動を止める声かけは、本人の不安や混乱を強めることがあります。 認知症の人は状況を理解しにくく、「なぜ止められるのか」が分からないまま制止されると、警戒心や反発が生まれます。
また、否定的な言葉は責められていると感じ、症状を悪化させる要因になります。
OK!対応
「お疲れではないですか?」
「何か困っていることはありますか?」
無理に歩みを止めようとせず、一緒に歩きながら選択肢を示す。
ご利用者の行動を“問題” と捉えるのではなく、その目的や思いに寄り添うことがケアの第一歩です。
不安そうに歩き回っているときは、すぐに止めたり座らせようとせず、一緒に歩きながらやさしい表情で声をかけ、ご本人が職員の顔を視認できるようにします。
症状から、その方の[歩き回る]理由を探る
認知症による記憶障害や見当識障害があると、「今、自分がどこにいるのか」、「なぜ、ここにいるのか」が分からなくなり、不安や混乱から歩き続けてしまうことがあります。
また、注意や実行機能の障害により行動の切り替えがうまくできず、目的があっても途中で分からなくなり、結果として“歩き回っているように見える” のです。
認知機能障害による理由
・見当識障害(ここがどこで、何をしているのか分からず、不安や焦りから歩き回る)
・記憶障害(目的地や用事を忘れてしまい、探して歩き続ける)
・実行機能障害(やるべき行動を整理できず、止まって切り替えることが難しい)
その他の背景(人的・健康状態・環境など)による理由
・孤独感や関係性の希薄さ(デイの中に、安心して話せる人がいない)
・身体的な不快感(排せつの不快感や便秘、脱水などの不調を感じている)
・環境の不安(安心して過ごせる場所が見つからない、トイレの場所が分からない など)
【情報提供元】
月刊デイ
【お役立ち研修】
第23回日本通所ケア研究大会
https://tsuusho.com/conference/




















