朝、来所したEさんの荷物を預かろうとしたスタッフが「かばんをもらいますね」と言ったところ、突然Eさんが「何をする!この盗っ人め!」と大声で叫び、殴りかかってきました。
Eさんは、なぜ暴言や暴力行為を行うのでしょうか?
Eさんに寄り添って考えてみましょう。
なぜから考える…「気持ちに余裕がなくなることが暴言や暴力行為の原因」
認知症の人は、記憶力や認知機能の低下からさまざまな不安を抱えているため、精神的な余裕がなくなると、暴言や暴力など利己的な行為に及ぶことがあります。
認知症の人の気持ちを理解するためには、私たち自身が「怒りが収まらず、暴言を吐きたくなる場面」または「イライラしてしまう場面」を考えてみることが大切です。「説明しているのに分かってもらえない」、「相手への不信感が募っている」、「心に余裕がない」などのケースが挙げられるでしょう。
認知症の人の暴言・暴力にも、このような不安や不信の気持ちがあるのです。
【予測される「不安」「不信」だと思われたこと】
・スタッフの顔が分からず(相貌失認)、不審者だと感じた
・スタッフの声かけが不適切であったため、かばんを盗まれると思った
・説明を受けた後も、かばんを盗まれるという思い込みを考え直すことができなかった(認知症の人は勘違いを指摘されても修正しにくくなる)
・スタッフの動作(視覚刺激)や声(聴覚刺激)が理解できず、不安から自分を守ろうと思った(自己防衛)
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