現場でよくある事例
8月某日、大雨災害により公共交通機関は運休、高速道路も通行止めになりました。
そのため、この日は多くのスタッフが2~4時間の遅刻をしました。
Aデイサービスでは、遅刻した時間を含む半日分の時間を特別に「有給休暇」として処理しました。
しかしその日、所定終業時刻を超えて勤務したスタッフが数名おり、「有給で処理された時間と実際に勤務した時間を通算したら8時間を超えました。
この場合、時間外割増賃金を支払ってもらえるんでしょうか?」と質問がありました。
ちなみに、当デイサービスの就業規則には「始業・終業時間を繰り上げ、繰り下げることがある」などの規定はありません。
こういった場合はどうなるのでしょうか?
[このケースのポイント]
年次有給休暇を取得した時間は、所定労働時間として取り扱う必要があるのかどうか。
結論
時間外割増賃金の支払いは必要ありません
〈根拠〉
●労働基準法は実労働時間主義をとっており、1日の実際の労働時間が8時間を超えない限り時間外割増賃金を支払う必要はない(ただし、労働時間分の賃金は時給換算で支払うこと)
●年次有給休暇を取得した時間は、実際の労働時間(所定労働時間)には含まれない
労働基準法および厚生労働省の行政解釈には、年次有給休暇を取得した日時について、「所定労働時間」として扱うべきかどうかを明確に示したものはありません。
しかし、“実労働時間主義”であることを示した以下の通達があります。
法第32条または第40条に定める労働時間は実労働時間をいうものであり、時間外労働について法第36条第1項に基づく協定及び法第37条に基づく割増賃金の支払いを要するのは、右の実労働時間を超えて労働させる場合に限るものである。
したがって、例えば労働者が遅刻をした場合その時間だけ通常の終業時刻を繰り下げて労働させる場合には、1日の実労働時間を通算して法第32条または第40条に定める労働時間を超えないときは、法第36条第1項に基づく協定及び法第37条に基づく割増賃金支払いの必要はない。
(昭和29年12月1日基収第6143号、前掲基発第150号・婦発第47号、平成11年3月31日基発第168号)
つまり、時間外割増賃金の支払いが必要となるのは、「実際に出勤し、勤務を開始した時間から実労働時間が8時間を超えた場合」に限られることになります。
【情報提供元】
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