
[一文まとめ]
2040年の高齢化ピークを見据え、地域特性に応じた「地域最適」の介護サービス提供体制の構築を進める方針です。
厚生労働省は2026年3月9日、社会保障審議会の第134回介護保険部会を開催し、第10期介護保険事業(支援)計画の基本指針に盛り込む主要事項の方向性を提示しました。
2040年を見据え、地域ごとに異なる人口構造や人材状況を踏まえた「地域最適」のサービス提供体制を構築する考えを示しています。
2040年を見据えた介護提供体制の見直し
今回示された方向性では、高齢化がピークを迎えるとされる2040年度を見据え、「地域の実情に応じたサービス提供体制の構築」を重要なテーマの1つとして位置付けました。
厚生労働省は今後検討を進め、今夏にも基本指針の見直し案を提示する予定としています。
介護ニーズの状況や人材確保の難易度、人口動態は地域によって大きく異なる現状を踏まえ、画一的な制度運用ではなく、地域の特性に応じた「地域最適」のサービス提供体制の構築を進める考えが、昨年末の審議会でも示されていました。
地域を3つの類型に整理
今後の制度設計では、全国の地域を次の3つの類型に整理する方向性が示されています。
・中山間・人口減少地域
・大都市部
・一般市等
今回提示された基本指針の主要事項でもこの枠組みが反映されており、自治体が地域の特性を踏まえて介護保険事業計画を策定することが求められる見通しとなりました。
人材不足が深刻な地域では特例サービスも
特に人口減少や人材不足が深刻な「中山間・人口減少地域」では、サービス提供体制の維持が大きな課題となっています。
このため厚生労働省は、事業所や施設の人員配置基準の弾力化などを可能とする仕組みの活用についても検討を促す方針を示しました。
この仕組みは「中山間・人口減少地域」を対象として新たに設けられる「特例介護サービス」の類型で、地域の実情に応じた柔軟なサービス提供を可能とすることが狙いとされています。
一方で、どの地域を「中山間・人口減少地域」と位置付けるかについては、今後の制度設計の焦点となります。
厚生労働省は引き続き検討を進める考えで、今回の部会でもこれまでの説明内容を維持しました。
国会で審議されている関連法改正の議論を踏まえて制度の大枠を整理し、その後、社会保障審議会介護給付費分科会で具体的な内容を詰めていく流れとなりそうです。
「身寄りのない高齢者」への支援も課題に
加えて今回の主要事項では、「身寄りのない高齢者への支援のあり方」についても言及されました。
単身高齢者の増加を背景に、頼れる家族がいない高齢者への対応が地域での課題となっていることを踏まえてのものです。
厚生労働省はこれを今後の地域における重要な課題の1つとして位置付け、市町村が中心となり、医療・介護・福祉など関係者が連携して必要な対応策を検討する体制づくりを進めていくよう求める考えを示しました。
地域全体で支援体制を整備し、切れ目のない支援につなげていくことを目指すとしています。
雑感
今回示された方向性のポイントは、介護制度の前提が「全国一律」から「地域ごとの最適化」へと移りつつある点にあります。
人口減少が急速に進む地域では、これまでと同じ形で介護サービス網を維持すること自体が難しくなりつつある中で、制度側もその現実を前提に地域の状況に応じた柔軟な体制づくりを模索し始めたといえます。
一方で「地域最適」という考え方は、表裏一体で制度の柔軟化と同時に地域間格差という新たな課題もはらみます。
今後の制度設計では、介護サービスの持続可能性と公平性をどのように両立させるのかが大きな焦点となりそうです。
【お役立ち情報】
第134回社会保障審議会介護保険部会の資料について
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_71296.html
【お役立ち研修】
次世代介護マネジメントフォーラム
https://tsuusho.com/managementforum




















