
2026年2月16日に厚生労働省は「社会保障審議会 介護給付費分科会(第254回)」を開催し、令和8年度に実施する介護事業経営実態調査の実施案を提示しました。
本調査は2025年度を対象に今年5月に実施され、結果は10月頃に公表予定です。
2027年度介護報酬改定の基礎資料となる重要な位置づけとなります。
[1]調査の目的と見直しの背景
調査の主目的は「各サービス類型の収支状況を把握し、報酬改定の基礎資料とすること」と整理されました。
特に今回は、前回調査で指摘された課題を踏まえ、調査精度向上が明確なテーマとなっています。
焦点の一つが訪問介護です。
前回改定において訪問介護の収支差率が一定水準であったことが議論の材料となり、委員からは「事業所の運営形態や規模差が十分反映されていないのではないか」との問題提起が繰り返されました。
今回の見直しは、こうした論点を受けた対応と位置付けられます。
[2]抽出率引き上げと分析精度
訪問介護の抽出率を従来の10分の1から8分の1へ引き上げる方針が提示されました。
サンプル数の増加により、「規模別」「地域別」の分析精度の向上を図ります。
委員からは「訪問介護は地域インフラの側面を持つ。平均値だけでなく、規模や運営モデルの違いを丁寧に分析すべき」との意見が出されました。
特に小規模事業所の経営状況が統計上埋もれる懸念が示され、サンプル拡充の意義が強調されました。
[3]調査票の主な変更点
今回の調査票見直しでは、以下が追加、整理されます。
・集合住宅(サービス付き高齢者向け住宅・有料老人ホーム等)への訪問回数と戸別訪問の区分
・ヘルパーの移動手段、移動時間の把握
・介護テクノロジーの導入状況
・食費関連項目の精緻化
議論では、移動時間の把握について「訪問介護の実態把握に不可欠」との意見が出されました。
移動コストはこれまで統計上明確に表れにくい領域であり、地域差を含めた分析が求められています。
[4]委員発言の共通軸
委員による発言の共通軸は次の3点に集約できます。
(1)運営モデル差の可視化
(2)小規模事業所の実態反映
(3)データの政策活用の透明性
「異なるモデルを一括りにした平均値では制度設計を誤る可能性がある」との認識は複数の委員に共有されていました。
[5]改定議論への示唆
経営実態調査は、単なる統計調査ではありません。
収支差率は報酬水準議論に直結します。
今回の分科会は、訪問介護の評価軸をより精緻化する方向性を確認した場といえるでしょう。
公表結果が、2027年度改定議論の出発点となります。
【お役立ち情報】
第254回社会保障審議会介護給付費分科会(web会議)資料
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_69866.html
【お役立ち研修】
次世代介護マネジメントフォーラム
https://tsuusho.com/managementforum




















