厚生労働省より、2025年度(第38回)介護福祉士国家試験より新たに「パート合格制度」が導入されることが正式に発表されました。
■厚生労働省のねらい
「質の確保」と「量の確保」のバランスを取るための措置
(1)受験者の学習・受験負担を軽減するため
(2)受験しやすい環境を整え、介護人材の確保を図る
(3)他の国家資格(例:社会福祉士、精神保健福祉士)には既に類似制度が存在
■「質の担保」という観点からの懸念…試験水準の「分割」が質の低下を招く可能性
従来の「一括合格」制度では、受験者が全領域を網羅的に理解していることが前提であり、パート合格制度では、1回の試験では全領域の理解が確認できないため、一時的に知識の偏りやバラつきが生まれ、部分的合格制度が「介護福祉士の質の低下」や「資格価値の相対的下落」につながるのではという懸念も一部声が上がっていました。
■パート合格制度とは?
これまでの介護福祉士国家試験は、すべての科目で合格ラインをクリアする必要がありました。
2025年度からは、試験科目を3つのパートに分け、それぞれで合否を判定。合格したパートは2年間有効で、次回以降の受験では免除されます。
[パート構成]
・Aパート…介護の理念、制度、基本技術など(60問)
・Bパート…身体構造、疾病、障害など(45問)
・Cパート…具体的な支援場面での適用力(20問)
■制度導入のポイント
・初回受験で合格したパートは、次回・次々回で免除可(2年間有効)
・毎年1パートずつ合格して、3年で国家資格取得も可能
・学習負担が軽減。仕事と両立しやすくなる
・外国人受験者の支援にもつながる
■この制度に関するQ&A
Q1. 国家試験合格者(全パート合格者)とパート合格者はどのように違うのか。
A:パート合格者は、一部のパートの合格基準に達し、合格パートの受験を一定の期間免除された者であって、国家試験合格者(全パート合格者)と違い、介護福祉士となる資格を有する者でない。
Q2. パート合格者は、配置基準や報酬 の算定に含まれるか。
A:上記回答のとおり、介護福祉士ではないため、介護福祉士としての配置基準や報酬の算定には含まれない。
Q3. パートごとに 合格率は公表されるか。
A:パートごとの合格率は公表せず、これまで通り国家試験合格者(全パート合格者)のみを対象とした合格率を公表する。
Q4. パート合格 の導入が、介護福祉士の質の低下につながるのではないか。
A:介護福祉士の質の維持・向上を図ることが必要であるため、国家試験の質を担保する観点から、合格基準とパート合格の有効期限を定めている。
具体的には、合格基準は、これまで通り全パート受験時は問題の総得点の 6 割程度を基準として問題の難易度で補正した点数以上かつ試験科目群すべてにおいて得点があることを維持する。
パートごとの合格基準では、全体の合格基準点に対し全パートを受験した受 験者のパートごとの平均得点の比率で按分して得られた点数以上、かつ各パートを構成する科目群すべてにおいて得点があることを合格基準としており、パートごとに独立した合格判定をすることから、結果として質は保たれる。
また、パート毎に、パート合格した最終年から翌々年までを有効期限と設定している。
Q5. 不合格者の再受験時に、既に合格 したパートの受験は 希望制とあるが、合格したパートを受験する意義はあるか。
A:パート合格の有効期限は、パート合格した年から翌々年までとなっており、一部パートについて合格した者が、再度、全パートを受験し、既に合格したパートについて、再び合格した場合には、当該パートの有効期限が延長される。
また、一部パートについて合格した者が、翌年度以降、不合格パートのみ受験するといった方法に加えて、再度、全パート受験をするといった方法を選べるようにすることで、得意なパートを生かした受験が可能となるところ、これにより、一人ひとりの状況に応じた学習の選択肢が拡大されると考える。
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