地域の誰かのためにものを作る「コスモ・クラフト・プロジェクト」
福岡県筑後市にあるデイサービスこすも(以下、こすも)では、ご利用者になじみのある手芸や木工などの作品作りを社会参加につなげる取り組み「コスモ・クラフト・プロジェクト」を行っています。
事業所の中だけでの活動を“地域の誰かのための作品作り”にシフトチェンジしたことで、ご利用者の自己効力感や生活意欲向上など、さまざまな効果があるといいます。
プロジェクト参加によって生きがいを持つように
約3年前から始めたこのプロジェクトでは、現在約2割のご利用者が参加を希望し、それぞれの利用日に少しずつ作業を進めています。
現在は、「積み木」「ヘアアクセサリー」「(赤ちゃん用)布ボール」「(正月用)しめ縄」などを作り、地域の施設や店舗に届けています。
作品を手にして喜ぶ方や、積み木で遊ぶ子どもたちの姿を見ることで、ご利用者の多くが自信を取り戻したり、生きがいを感じられるようになりました。
こすもは家具作りで有名な大川市に近く、ご利用者の中には元家具職人や元建具職人の方も多くいます。
そのため、木材を使った積み木作りは人気で、プロジェクト開始後、「自分も仕事をしたい」「何か作りたい」という希望を持った男性のご利用者が増えました。
ご利用者の希望・経験の聞き取り
このプロジェクトは、ご利用者の希望や経験を生かした作品作りが基本となるため、「どんな活動をしたいか」「これまでにどんなことをしてきたのか」を聞き取ることから始めます。
イラストや動画などを用いて作業経験を思い出すきっかけをつくったり、実際の作業場面や使用されている場面の写真を見ていただくこともあります。
「自分のできることが誰かの役に立つ」とイメージできるようにすることが大切です。
主体性を高める役割分担や仲間づくり
各作品が完成するまでには多くの工程があります。
作業療法士が工程を分析し、ご利用者の身体・認知機能に合わせ、一人一工程になるように作業を選択します。
また「できた!」という成功体験を積んでもらえるよう道具の工夫や環境を整えることも意識しています。
そして完成後は全員で作品を確認し、完成の喜びを分かち合うなど、ご利用者同士がもの作りを通じて交流することもプロジェクトの目的の一つです。
役割分担や仲間づくりによってご利用者が主体的に活動を続けられるようにサポートすることで、自宅で作業をしてくる方や、趣味活動を再開された方もいます。
【情報提供元】
月刊デイ
【学ぶ】
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