すり足歩行とは、地面と足裏が接している時間が長く、足を高く上げられないまま歩くことで、わずかな段差にも足が引っ掛かってしまうため、転倒の危険が高まります。
すり足になる原因としては、
(1)重心移動ができない
(2)骨盤-体幹の動きが悪い(立ち直り反応の低下)
(3)足を上げる力の低下(腹筋、背筋の同時収縮、股関節の屈曲、足関節の背屈)
が主に考えられます。
すり足歩行の予防と改善のためには、以下の要素を知っておくとよいでしょう。
■つま先が上がらない
[対策]
・前脛骨筋(すね)の筋力低下を防ぐ
・足首を柔らかくする
[効果的な動作]
つま先の上げ下げ
■かかとが上がらない
[対策]
・下腿三頭筋(ふくらはぎ)の筋力低下を防ぐ
・足首を柔らかくする
[効果的な動作]
かかとの上げ下げ
■足が高く上がらない
[対策]
腸腰筋(腰椎と大腿骨を結ぶ深腹筋肉とも呼ばれる筋で、主に腸骨筋と大腰筋で構成)の筋力低下を防ぐ
[効果的な動作]
片足ずつ持ち上げる
■膝に違和感や痛みを感じる
[対策]
大腿四頭筋(太もも)の筋力低下を防ぐ
[効果的な動作]
片足ずつ痛くないところまで伸ばす
■バランスが取りにくい
[対策]
・足底筋や足の指が縮んだ状態になるのを防ぐ
・姿勢保持に必要な体幹(コア)の腹横筋、横隔膜、多裂筋、骨盤底筋群の筋力低下を防ぐ
[効果的な動作]
・足をほぐす
・指を広げる
・体重を右尻→左尻と移動させながら、腹筋を使って横に揺れる
ほとんどの施設がバリアフリーになっているので、利用者はついすり足歩行になってしまいます。
ところが、家に帰るとそうはいきません。
至る所に段差があります。
高齢者の転倒事故の発生場所として最も多いのは、家の中なのです。
施設内にもあえてバリアを作り、「またぐ動作」「片足で支える動作」など、自然と歩行訓練ができるようにした方がよいと思います。
特に、“ペタペタ&ズリズリ歩き”から、“スタスタ歩き”に移行してもらうにはまず、「体を起こす」「腕をしっかり振る」という2つの動作が欠かせません。
リズミカルな歩行ができるようになるので、音楽を聴きながら歩くのもよいでしょう。
また、号令をかけながら歩くのも効果的です。
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