デイサービスの運営と営業の関係
デイサービスは全国約48,000事業所(厚生労働省2021)あり、約56,000店舗(日本フランチャイズチェーン協会2023)あるコンビニ数に迫る勢いで増え続け、レッドオーシャン化しており、「良いサービスを提供していれば自然と顧客の流入が見込める」という訳でもなくなってきています。
※レッドオーシャン…競争相手が多く存在している市場のこと
「良いサービスとは何か?」それを自事業所で言語化し、実際に取り組んでいる内容・効果について、認知と集客を取っていかなければ、どれだけ良いサービスを提供していても、情報戦で敗北し、期待する紹介件数が得られないなんてことはざらにあります。
そして、私たちが提供しているサービスは公的なサービスではありますが、収益が上がらず赤字になれば、運営することができなくなります。
どれだけ良いサービスを提供していても、赤字で運営できなければ今いるご利用者にケアを提供し続けることはできません。
「良い介護を提供している」からこそ、情報戦で勝利し、利用者増に努め、地域に必要な介護事業所として生き残り続けなければなりません。
そのために「営業」とは、利用者増を達成するために欠かせない【手段】の一つなのです。
ビジネスモデル的に「営業」が必要な世界
業界関係者は「介護」について詳しくても、60年間建設業界で働いて来た要介護2のご利用者は「介護」について詳しくありませんし、親の介護がきっかけで介護に触れた家族も「介護」については詳しくありません。
このように、「あまり商品やサービスについて知らない」ということは、自分ひとりの力で購入・サービス利用の意思決定をすることが難しい業界であると言えます。
このようなビジネスモデルを「セカンドループモデル」と言います。
反対にコンビニで売っているポテトチップスや、ドラッグストアで売っているシャンプーなどは、なんとなく商品やサービスの価値を理解できて、自分ひとりの力で購入の意思決定ができます。
コンビニの新作ポテトチップスの横に営業マンはいません。
必要だと感じた人が「新作出たんだ~!!」と思って手に取るだけです。
このようなビジネスモデルを「ファーストループモデル」と言います。
「ファーストループモデル」は広告の力だけで、売上増が見込めます。
低単価であることが多いため、営業をつけると逆に収益が悪化してしまいます。
反対に「セカンドループモデル」は広告の力だけでは、売上増が見込めません。
「高単価」もしくは、「顧客が商品理解しづらいサービス」であれば、顧客と接点を持ってサービスについて理解していただく営業機会が必要となります。
つまり介護業界は、ビジネスモデル的に「営業」が必要となる世界というわけです。
営業は【手段】であり【目的ではない】
例えば、新規のケアマネ事業所へ出向き新規利用者の掘り起しをする「営業」もあれば、既存のご利用者のニーズを引き出す「営業」もあります。
また利用前訪問でご利用者・家族を通う気にさせる「営業」など、さまざまな場面で「営業」は存在しています。
あくまでも営業は手段であり、その目的は場面ごとにアプローチは異なります。
何のために「ケアマネ営業」をしていますか?と生活相談員や管理者に質問すると、「利用者増のためです」という回答が得られるのに対して、「営業で何件新規獲得できましたか?」と聞くと、「分からない」とか「ゼロ件です」といった回答が返ってくることがあります。
なぜ、このような状況が起こっているかというと、「営業に行くこと」が目的化しているためです。
今月は「10件行きました」という「行く」ことが目的化していて、そこから何件の新規利用に繋がったのかのアンテナを張っていないので、営業効果が得られていないのです。
新規利用を増やすことが目的なのであれば、ケアマネ事業所に足を運ばなくてもダイレクトメールだけで目標件数の利用が見込めるかもしれませんし、20件事業所に行って新規利用が0件よりも、2件行って新規利用1件の方が良いわけです。
行動は誰でもできます。
営業現場は「ケース別」に狭く、準備は「汎用的」に広く
営業は、ご利用者の課題解決策としての「デイサービス」を提案する手段ですから、一人ひとり異なる課題を持つご利用者に同じような提案をしてはいけません。
目の前のご利用者が、どんな悩み・課題を持っているか理解し、デイサービスに通うことでどういった成果(未来)を獲得していただけるかについて提案し、納得して利用していただく必要があります。
基本的に目の前のご利用者を知るための「アセスメント力」が最重要となりますわけです。
「○○さんって昔はどんなお仕事をされていたんですか?」
「国鉄ですか!!なんかカッコいいですね!全国色んな所にいかれたんですか?」
「奥様も一緒に全国色んな所に行かれたんですね~!!今も旅行とかされるんですか?」
「もう旅行はいいんですね。それよりは趣味のゲートボールを楽しみたいんですね」
「ゲートボールは結構されるんですか?足が悪くなってからなかなかできていないんですね」
「例えば、足が良くなって以前のようにゲートボールができたら○○さんは生活の中での楽しみが増えますか?」
何気ない会話もアセスメントの一つであり、課題を抽出し提案していく上でとても効果的です。
しかし、提案時に使う事例などの準備資料は「幅広いニーズに対応」できるように、汎用的に広く用意します。
例えば、リハビリが特徴のデイであれば、
「車椅子→杖歩行に改善」
「杖歩行→杖無し歩行に改善」
「椅子に座っての生活→畳で過ごすことが可能」
などのビフォー・アフターを見せることができる事例をたくさん用意し、対象者が抱えている類似の改善事例を出すことが効果的です。
また、ご利用者が求めているのは身体機能の改善だけではないはずなので、車椅子から杖歩行に改善したことで、お孫さんと外食に行けるようになったというような、日常生活の暮らしの変化についても紹介することができるととても良いです。
【情報提供元】
だよりね
【学ぶ】
■看護職・機能訓練指導員・介護職のための個別機能訓練実技セミナー
https://tsuusho.com/kunren_jitsugi
■ご利用者の生活動作・行為向上のためのリハビリアプローチ
https://tsuusho.com/livingfunction
■認知症ケアで大事なことまるわかりセミナー
https://tsuusho.com/understanding
■ありがとうデイサービス見学会&10種セミナー
■2024年診療報酬・介護報酬同時改定に向けたリハビリ施設がすべきマネジメント
■総合リハビリケアセンターアクティブワン見学会&セミナー
https://tsuusho.com/active_tour
■ケアマネオンラインセミナー~今後激変が予想されるケアマネジャーの役割どう変わる?どう対応する?~
https://tsuusho.com/caremanager
■【オンライン配信】指導と監査
https://tsuusho.com/special_ondemand5
■【オンライン配信】個別機能訓練加算と入浴介助加算について
https://tsuusho.com/special_ondemand4
■【オンライン配信】人材不足と職員確保・定着
https://tsuusho.com/special_ondemand3
■【オンライン配信】「訪問+通所の新サービス」&「地域ケアステーション」
https://tsuusho.com/special_ondemand2
■【オンライン配信】2024年介護報酬改定の影響と対応
https://tsuusho.com/special_ondemand
■【オンライン講座】PEAPに基づくご利用者を取り巻く施設環境づくり
https://tsuusho.com/lp_creating_an_environment