重要書類の誤送信など、職員による事務のミスが頻発!
あるデイサービスの施設長は、事務員や相談員の事務のミスが多くて悩んでいます。
先月は併設居宅のケアマネジャーのFさんが、利用者の通所介護計画書を違う家族に送ってしまいました。
3名の利用者の家族に封書で通所介護計画書を送る際、中身を入れ間違えたのです。
その後、家族から「プライバシーの侵害であり、施設長の指導監督不行き届きだ」と、施設長の謝罪まで求められました。
今月は、相談員がケアマネジャーに送る書類を忘れていて電話で催促され、慌てて間違った番号のFAXに送信してしまいました。
この件は、個人情報の漏えい事故として利用者の家族に謝罪し、市の介護保険課にも届け出ることになりました。
施設長は外部に迷惑をかける事務のミスが続いたことから、人的ミスの防止策をほかの職員と話し合いましたが、「職員が個々に注意するしかない」という意見しか出ず、施設長は困ってしまいました。
「個人が注意して事故を防ぐ」という考えは古い事務のミスだけでなく、誤薬や送迎車からの降ろし忘れなど、人の行動のミスが原因で起きる事故を「ヒューマンエラー事故」といいます。
従来、ヒューマンエラー事故は「注意力が低下したことでミスを起こし、事故が発生する」ため、「注意力を高めれば事故が防げる」と考えられていました。
その結果、防止対策は「もっと注意する」や「もっと慎重に」などの精神論になり、事故が起きれば「注意力が不足していたあなたの責任」と、個人責任の追及で終わってしまったのです。
しかし、ミスにも多様な原因があり、人の注意力だけではミスは防げないということが分かってきました。
そこで、ヒューマンエラー事故の新しい防止対策が考え出されました。
ヒューマンエラー事故の新しい考え方
事故を一体的に捉えて個人の注意不足で片付けるのではなく、新しい防止対策では、「ミス」と「事故」と「損害」を分け、「ミスが原因で事故が発生し、事故の結果、損害が発生する」と考えます。
ミスを5つに分けて分析するSHELLモデル
ヒューマンエラー事故のきっかけとなるミスを防ぐためには、原因を5つに分ける「SHELL モデル」を使って分析し、それぞれに対策を講じます。
FAX 番号の入力を間違えた原因は、職員が慌てていたのかもしれませんし(liveware)、FAX の番号入力パネルが操作しにくかったのかもしれません(hardware)。
このようなミスが発生する原因を改善していくことによって、ミスの発生を抑制する対策を講じます。
また、重要書類は宛先シールと送付物を照合してから、一通ずつ封入するなどミスが起きにくい手順を決めておくことも、ミスの防止には必要な対策です。
(1)S:ソフトウエア(software)
→手順書やマニュアル、規則などの原因
(2)H:ハードウエア(hardware)
→機器や機材、設備、施設の構造などの原因
(3)E:環境(environment)
→気温・明るさ・騒音などの原因
(4)L:人(liveware)
→業務を行う本人の原因
(5)L:人(liveware)
→業務を行う本人以外(利用者や同僚や上司)の原因
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