利用者・家族と連携をする上で、利用者・家族がリハ職に対してどのような期待を持っているのか、その本音を知ることは極めて重要です。
研究では、訪問リハビリ(以下、訪問リハ)において、利用者や家族は「身体機能の改善・維持」「介護・介助方法の指導」「心理・精神的援助」「相談・カウンセリング」を期待していると報告されています。
また、別の研究では、デイサービスにおいて「職員の対人援助技術」「効果の実感」「ほかの利用者との交流」が利用者満足に影響すると報告されています。
この二つの研究より、利用者や家族は「身体機能の改善・維持」や「介護・介助技術」などの具体的な効果を実感すること、そして、「心理・精神的援助」や「相談・カウンセリング」などの対人援助技術の二つの事柄を期待しているといえるでしょう。
利用者や家族との連携3つのポイント
【ポイント1】
心身機能の予後予測を伝え、明確な目標設定をする
生活期においてリハ職の個別リハのみでは、利用者の心身機能の維持・向上は極めて難しく、日常的な自主トレーニングや生活習慣の見直しをする必要があります。
その際にリハ職は、「心身機能の予後予測」を利用者や家族に伝え、明確な目標設定を行い、自主トレーニングや生活習慣の改善への高いモチベーションを持っていただくことが重要です。
よって、リハ職は「予後予測」に関する能力を高めるために、心身の残存機能と回復の可能性に関する評価の研さんを怠ってはなりません。
【ポイント2】
介護・介助技術の学習を怠らない
リハ職は、口腔ケア(嚥下評価)、トランスファー技術、福祉用具、排泄などの介護・介助技術のすべてに長けている人は少ないのが実情で、知識や技術の差が激しい分野です。
各職種は介護・介助技術に関するスキルを身に付けなければ、利用者や家族との連携もままならないでしょう。
【ポイント3】
対人支援技術の要である信頼関係の構築に全力を尽くす
利用者・家族は、自身の身体機能や今後の生活設計に対して常に不安を抱き、孤独感を感じています。
アメリカの心理学者のロロ・メイは「不安や孤独を抜け出し、独自の世界の可能性に気付くためには、信頼できる他者に受け入れてもらうこと」3)と述べています。
つまり、利用者・家族が不安や孤独から抜け出すためには、リハ職が利用者・家族にとって信頼できる他者になることが必須だといえます。
信頼関係を構築するために必要な技術は傾聴・共感・受容の3つです。
■傾聴
利用者や家族の話を聴き、相手の考えていること、感じていることを親身になって聴いているという態度を示す。
■共感
傾聴することで感じられた利用者や家族の思考や感情を、リハ職が同じように感じ取り、フィードバックし、思考や感情の一致を図っていく。
■受容
利用者や家族の思考や感情を受け入れ、受け止める態度を示し、利用者・家族が自身の思考や感情をリハ職が受け止めたことを認知する。
【情報提供元】
■リハージュ Vol.1
【学ぶ】
■生活期リハ施設がすべき2021年介護報酬改定への対応と医療・介護事業における感染症・災害・経済危機などを乗り越えるための組織づくり
https://www.tsuusho.com/revival_of_life
■新たなデイの運営基準に沿った環境づくりから地域への参加セミナー
https://tsuusho.com/social_participation_activities
■令和3年特別!デイの基準と指導・監査対応セミナー
■個別機能訓練・リハビリの実技と効果向上セミナー
https://tsuusho.com/kunren_jitsugi
■令和3年度のデイ運営セミナー
https://tsuusho.com/daymanagement2021
■新入浴介助加算の書類・プログラム総合セミナー
https://tsuusho.com/bathing_comprehensive