実地指導の際には、原則として約1ヶ月前に実施通知書が郵送されてきます。
当日の流れや準備しておくべき記録類、事前提出書類、提出期1ヶ月前に実施通知書が郵送されてきます。
当日の流れや準備しておくべき記録類、事前提出書類、提出期限なども一緒に通知されるため、よく確認しましょう。
【実地指導の実施通知書の内容例】
・実地指導の日時、目的
・事前に提出する書類
・当日準備する書類 など
当日は設備なども目視で確認される
実地指導当日は、事業所内の設備などが目視で確認されます。
「相談室や静養室など申請時との相違がないか」
「カーテンなどは防炎生地を使用しているか」
「個人情報を保管しているロッカーには鍵が付いているか」
「重要事項説明書や運営規程が見えやすいように掲示されているか」
などを見て回ります。
また、避難経路の確認や消火器の設置、衛生管理の状況などもチェックされますので、設備や環境も再確認しましょう。
実地指導は、各自治体によって確認書類や指導内容が異なり、担当者が変わると前回と異なる内容の指導が行われるなど、事業所側が混乱するような事態が発生しています。
そのため、厚生労働省は2019年5月30日に「介護保険施設等に対する実地指導の標準化・効率化等の運用指針について(以下、同通知)」を通知し、実地指導で確認する標準確認項目と標準確認文書を示しました。
同通知のポイントは次の通りです。
【標準確認項目と標準確認文書のポイント】
・同通知は自治体に遵守するよう強制するものではないが、参考にして反映させることが求められる
・自治体、事業所双方の負担軽減のため、特段の事情がない限り標準確認項目以外は行わず、標準確認文書以外の文書は求めないとしている
・標準確認項目を踏まえて実地指導を実施することで所要時間の短縮を図る
・指針に基づく実地指導の実施状況や課題を踏まえ、厚生労働省が同通知の指針と「介護保険施設等実地指導マニュアル」の改善を図る
・今回示された通所介護の標準確認項目は45項目、標準確認文書は45文書
【通所介護における標準確認項目と標準確認文書】
●人員
(1)従業者の員数(第93条)
<標準確認項目>
・利用者に対し、職員数は適切であるか
・必要な専門職が揃っているか
・専門職は必要な資格を有しているか
<標準確認文書>
・勤務実績表/タイムカード
・勤務体制一覧表
・従業員の資格証
(2)管理者(第94条)
<標準確認項目>
管理者は常勤専従か、他の職務を兼務している場合、兼務体制は適切か
<標準確認文書>
・管理者の雇用形態が分かる文書
・管理者の勤務実績表/タイムカード
●設備
設備及び備品等(第95条)
<標準確認項目>
目的に沿った使用となっているか【目視】
●運営
(1)内容及び手続の説明及び同意(第8条)
<標準確認項目>
・利用者又はその家族への説明と同意の手続きを取っているか
・重要事項説明書の内容に不備等はないか
<標準確認文書>
・重要事項説明書
・利用契約書(利用者又は家族の署名、捺印)
(2)受給資格等の確認(第11条)
<標準確認項目>
被保険者資格、要介護認定の有無、要介護認定の有効期限を確認しているか
<標準確認文書>
介護保険番号、有効期限等を確認している記録等
(3)心身の状況等の把握(第13条)
<標準確認項目>
サービス担当者会議等に参加し、利用者の心身の状況把握に努めているか
<標準確認文書>
サービス担当者会議の記録
(4)居宅介護支援事業者等との連携(第14条)
<標準確認項目>
サービス担当者会議を通じて介護支援専門員や他サービスと連携しているか
<標準確認文書>
サービス担当者会議の記録
(5)居宅サービス計画に沿ったサービスの提供(第16条、第17条)
<標準確認項目>
居宅サービス計画に沿ったサービスが提供されているか
<標準確認文書>
・居宅サービス計画
・通所介護計画(利用者及び家族の署名、捺印)
(6)サービス提供の記録(第19条)
<標準確認項目>
・通所介護計画にある目標を達成するための具体的なサービスの内容が記載されているか
・日々のサービスについて、具体的な内容や利用者の心身の状況等を記録しているか
・送迎が適切に行われているか
<標準確認文書>
・サービス提供記録
・業務日誌
・送迎記録
(7)利用料等の受領(第96条)
<標準確認項目>
・利用者からの費用徴収は適切に行われているか
・領収書を発行しているか
・医療費控除の記載は適切か
<標準確認文書>
・請求書
・領収書
(8)通所介護計画の作成(第99条)
<標準確認項目>
・居宅サービス計画に基づいて通所介護計画が立てられているか
・利用者の心身の状況、希望および環境を踏まえて通所介護計画が立てられているか
・サービスの具体的内容、時間、日程等が明らかになっているか
・利用者又はその家族への説明・同意・交付は行われているか
・目標の達成状況は記録されているか
・達成状況に基づき、新たな通所介護計画が立てられているか
<標準確認文書>
・居宅サービス計画
・通所介護計画(利用者又は家族の署名、捺印)
・アセスメントシート
・モニタリングシート
(9)緊急時等の対応(第27条)
<標準確認項目>
・緊急時対応マニュアル等が整備されているか
・緊急事態が発生した場合、速やかに主治の医師に連絡しているか
<標準確認文書>
・緊急時対応マニュアル
・サービス提供記録
(10)運営規程(第100条)
<標準確認項目>
運営における以下の重要事項について定めているか
[1]事業の目的及び運営の方針
[2]従業者の職種、員数及び職務の内容
[3]営業日及び営業時間
[4]指定通所介護の利用定員
[5]指定通所介護の内容及び利用料その他の費用の額
[6]通常の事業の実施地域
[7]サービス利用に当たっての留意事項
[8]緊急時等における対応方法
[9]非常災害対策
[10]その他運営に関する重要事項
<標準確認文書>
・運営規程
・重要事項説明書
(11)勤務体制の確保等(第101条)
<標準確認項目>
・サービス提供は事業所の従業員によって行われているか
・資質向上のために研修の機会を確保しているか
・勤務表の記入内容は適切か
<標準確認文書>
・雇用の形態(常勤・非常勤)が分かる文書
・研修計画、実施記録
・勤務実績表(勤務実績が確認できるもの)
(12)定員の遵守(第102条)
<標準確認項目>
利用定員を上回っていないか
<標準確認文書>
・業務日誌
・国保連への請求書控え
(13)非常災害対策(第103条)
<標準確認項目>
・非常災害(火災、風水害、地震等)対応に係るマニュアルがあるか
・非常災害時の連絡網等は用意されているか
・防火管理に関する責任者を定めているか
・消火・避難訓練を実施しているか
<標準確認文書>
・非常災害時対応マニュアル(対応計画)
・運営規程
・避難訓練の記録
・通報、連絡体制
・消防署への届出
(14)秘密保持等(第33条)
<標準確認項目>
・個人情報の利用に当たり、利用者及び家族から同意を得ているか
・退職者を含む、従業員が利用者の秘密を保持することを誓約しているか
<標準確認文書>
・個人情報同意書
・従業員の秘密保持誓約書
(15)広告(第34条)
<標準確認項目>
広告は虚偽又は誇大となっていないか
<標準確認文書>
パンフレット/チラシ
(16)苦情処理(第36条)
<標準確認項目>
・苦情の受付窓口があるか
・苦情の受付、内容等を記録、保管しているか
・苦情の内容を踏まえたサービスの質向上の取組を行っているか
<標準確認文書>
・苦情の受付簿
・苦情者への対応記録
・苦情対応マニュアル
(17)事故発生時の対応(第104条の2)
<標準確認項目>
・事故が発生した場合の対応方法は定まっているか
・市町村、家族、介護支援専門員に報告しているか
・事故状況、対応経過が記録されているか
・損害賠償をすべき事故が発生した場合に、速やかに賠償を行うための対策を講じているか
・再発防止のための取組を行っているか
<標準確認文書>
・事故対応マニュアル
・市町村、家族、介護支援専門員への報告記録
・再発防止策の検討の記録
・ヒヤリハットの記録
同通知の標準確認文書にある「通所介護計画書」について署名・捺印と記載されていますが、省令基準上は「説明と同意」が求められています。
これについて厚生労働省は「同意を得ていることを確認するためのもので、署名・捺印の両方がなければいけないという意味ではない」としました。
この通知は指針であり、そのほかの確認項目や確認文書についても、各自治体などからの意見や質問を踏まえ、適宜改訂する予定としています。
【情報提供元】
■デイサービス・デイケアの管理者&リーダーオンライン
【デイの運営について学ぶ】
■事業所運営の課題解決に直結する! すぐに始める「強い組織」をつくるための立て直しセミナー
https://tsuusho.com/management2021
■【2021年介護報酬改定・介護保険制度改正直前対応】地域包括ケア・包摂支援時代の通所系サービス生き残り戦略特別リレー講演
https://tsuusho.com/daysurvival
■実践!認知症ケア研修会2021
■新年度直前対応!デイ運営と事業展開3日間セミナー
https://tsuusho.com/management3days
■報酬改定対応!デイ加算算定のための評価・書類・記録・プログラムセミナー
■介護職・看護師・リハ職のための認知症ケア集中セミナー
https://tsuusho.com/concentrate
■【WEB同時配信】介護施設・事業所における新人職員と中途採用職員を即戦力にするためのセミナー
https://www.tsuusho.com/establishment/