ご利用者のHさんは、着替えが入ったかばんを職員に預け、入浴時間までデイルームで過ごしています。
しかし、最近は数分ごとに「かばんがない」と訴えるようになりました。
職員が「預かっているから大丈夫ですよ」と説明すると納得しますが、しばらくするとまた訴えます。
職員が近くにいないときは、物盗られ妄想により、ほかのご利用者に「あんた、私のかばんを取ったでしょう!」と言い、けんかになることもあります。
どうしてHさんは「かばんを取られた」と考えるようになったのでしょうか?
Hさんの本当の気持ちを考えてみましょう。
「かばんがない」と思う理由に着目する
Hさんは職員に「かばんがない」と訴え、「誰かに盗まれたのかもしれない」と考えているようです。
しかし、職員が「預かっている」ことを伝えると納得することに着目すると、解決のヒントが見えてきます。
「疾患」という視点
職員にかばんを預けたことを忘れている
中核症状の記憶障害が進行し、職員にかばんを預けたことを忘れているのかもしれません。
職員に預けたことを覚えていないため、「かばんがない → 誰かに取られた → 隣にいる人が犯人かも」と考えたのでしょう。
「人」という視点
かばんの置き場所が分からないので不安に思う
かばんがどこにあるか分からないため、不安を感じているのかもしれません。
事業所側の都合でご利用者の持ち物を預かることもありますが、認知症で記憶障害のある方には注意が必要です。
ご利用者が自分で確認しやすい工夫をする
かばんを預けたことを忘れ、不安を感じているHさんの気持ちに寄り添いましょう。
安心して過ごせるよう、環境や対応を工夫することが大切です。
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