認知症高齢者の方にとって自宅と施設環境とのギャップは高齢者にとって適応が難しく、自分の居場所を見失い不安と混乱を招きます。
生活意欲や残存能力をも奪う結果となってしまうため、環境改善を行う必要があります。
在宅と施設の環境の違い
■物理的環境
<在宅>居室・トイレなどはなじみのある環境
<施設>巨大で複雑な環境
■社会的環境
<在宅>隣近所や地域とのかかわりが多い
<施設>施設内スタッフとご利用者のみ
■食事・入浴などの運営的環境
<在宅>比較的自由
<施設>すべてに制限がある
環境改善の流れ
(1)環境作りの目的を確認する
→キャプション評価法※を使用するために改善前の写真を撮り、どのような環境にするのか具体的に書き出す
<例>
・車イスでも動きやすい動線(機能的な能力への支援)
・テレビの位置の変更(環境における刺激)
・落ち着いて使ってもらえるトイレ(見当識への支援)
(2)新たな環境での暮らしやケアの目的を立てる
→集団的な暮らしから個々の意思を尊重した暮らしの実現
→個別のニーズと選択に応える
→トイレや共有スペースに落ち着いた環境を提供する
(3)環境設定後の共有スペース、トイレなどの活用や暮らしの変化について、情報を共有する
→環境設定後は、どのような変化があったのか「個々の意思の尊重」と「個別のニーズ」の項目に分けて、情報を集め、職員間で共有します。
→同時に環境設定により、残された課題がないかどうかも話し合います。
環境作りを行う上での注意点
一般的に環境作りを行うときには、まず「どのようにしていきたいか」や「考えられる効果は何か」などをしっかりとコンセプトを考える必要があります。
変更をした後に、ご利用者自身が感じること、ご家族などの第三者が感じること、自分たちが感じることを書き出して、自分たちがなぜこの環境作りに至ったのかをしっかりと明記することが重要です。
あくまでも、環境作りから生まれる効果をしっかりと意識して作り上げていくことが、相手を思う気持ちの具現化となります。
そして、さまざまな変化とともにまたその環境も変化をし続ける必要があり、そのためには常に現場とご利用者を見ていかなければなりません。
<環境づくりでよく出る問題>
・テレビの配置
・テーブルの配置
・トイレの環境など
【情報提供元】
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