人は、自分の居場所が分からなくなったり、知らない人が居る所だったりすると、自由に動こうという気持ちにはなれないものです。
また、見るからに通路が狭かったり、物があって歩きにくそうに感じられる場合、移動が億劫になるのは当たり前だと思います。
認知症の人が思い立ったその時に行動に移せるように、施設内の環境設定を考えていきます。
「動けない」のか「動きたくない」のか
人が「歩ける!」と思うには条件があります。
疾患や症状があって思い通りに身体が動かしにくかったり、場所が分からなくなり不安が生じたりすると、動きたくても動けないということが起こります。
それは席について周囲を見渡しているときから感じています。
歩きにくそう、周囲の様子が分からない、歩くのは無理かも、などの不安があるときは動きたくないのです。
職員はその方のADLや認知症の状態を知っているので、「〇〇さん、ちゃんと自分で歩かないと歩けなくなりますよ」とついつい言ってしまいますが、それはその方の心理、気持ちに寄り添えていないのです。
だから、認知症の方の視線の先に見える場面が、その方の身体や気持ちとどのように関係しているのか、しっかりと考えなければいけません。
その上で、施設内の通路幅を考えてみましょう。
よくある施設のレイアウトは、テーブルの左右どちらからでも移動ができるように配置されています。
これは私たち職員の動きから考えれば効率的な場合もありますが、利用者の立場で見ると、通りづらく感じているケースが多いのです。
周囲が狭すぎて行動が制限されている状態で、シルバーカーなどの障害物を避けたり、動かすことが難しい、通路幅が狭すぎて身体を横にしないと通れない、車イスで通れる幅がない、などです。
そう考えると、動きたくないと思っても不思議ではないのです。
真っ直ぐな道と曲がりくねった道
皆さんが車を運転する時、直線道路とS字カーブが続く道路、どちらの方が運転しやすいでしょうか?
直線道路の方が走りやすいと答える方が多いと思います。
それは利用者にとっても同じことです。
たまに、直線でなく少し入り組んでいる方が機能訓練やリハビリになると言う方もおられますが、普段食事をしたり、一息つく席ではそのような機能訓練要素を盛り込むよりも、歩きやすい、見やすい、歩けそうと思ってもらう方が移動に対してプラスに働くと考えます。
複雑な動きが必要ならば、機能訓練やリハビリの時間に実践すれば良いわけです。
皆さんはどう思われますか?
利用者を思い浮かべて考えてみてください。
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