「な~んだ、そんなおっかない顔して!」とご利用者に笑いかけられたことがあります。
きっと、私の眉間にしわが寄り、口角は下がっていたのでしょう。
コミュニケーションというと、どうしても「話す」ということに焦点が当たってしまいますが、やはり認知症の人にとっては、ノンバーバルコミュニケーションが重要視されることに改めて気づかされました。
「認知症の人は私たち職員の鏡だ」と言われています。
私たちがソワソワと仕事をしていると、認知症の人も落ち着きません。
毎日、さまざまな業務をこなしながらのケアは余裕がない状態だとは思います。
しかし、そんなときほど、気持ちと行動に余裕を持つことで、不思議とご利用者の方々もゆったりと過ごされることが多くなっていきます。
そして、チームでご利用者のケアをしているんだという意識を持ち、職員間のコミュニケーションも円滑にしてください。
それが、ご利用者へのケアに反映されていきます。
ご利用者が安心できる環境を整える
認知症が重度になってからサービスを利用すると、その環境に慣れるまでにかなりの時間を要します。
また、本人の体調やそのときの周りの環境に左右され、他者にとって心地よいと感じる音楽も雑音にしかならないこともあります。
いろいろな情報が処理しきれない状態にあることを念頭に置き、ノンバーバルコミュニケーションを意図的に使うことが必要です。
ケアの中で効果的にコミュニケーションを活用するためには、関係ないと思われる環境にも注意を向け、妨害要素となるものをなるべく排除し、安心できる空間を整えることも重要です。
そして、「この言動の裏には何があるのか」と、ご利用者からのメッセージを受け取っていきましょう。
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