コミュニケーションは「バーバルコミュニケーション」と「ノンバーバルコミュニケーション」の2つに分類されます。
円滑なコミュニケーションを図るためには、それぞれを切り離して考えるのではなく、どのように組み合わせるのがご利用者にとって有効なのかを考えることが重要です。
認知症の重症度によって、コミュニケーションの取り方は大きく異なります。
重度になるにしたがって、失語や記憶障害などにより円滑なコミュニケーションができにくくなっていき、ノンバーバルコミュニケーションの活用が重要視されていきます。
評価・観察の視点
以下のポイントを確認しながら、まずはご利用者のアセスメントをしていきましょう。
性別や年齢、生活史、家族歴、用いる言語(方言)、価値観などといったその人の背景を知ることも必要です。年齢や性別が違えば使う言葉が変わってきます。
まずは、どのような環境で、どのようなコミュニケーションの取り方をするご利用者なのかを理解しましょう。
■バーバルコミュニケーション
[観察の視点]
(1)話し言葉
[介入評価の視点]
言葉が理解できるか、意味が理解できるか、会話のキャッチボールができるか
[具体例]
・「座る」「食べる」など行動を促す言葉は理解できる
・「あっちに行こう」など自らがしたいことは積極的に話し掛ける
・会話のキャッチボールは困難なときが多い
[観察の視点]
(2)書き言葉
[介入評価の視点]
認識できる字の大きさ、漢字は読めるか、意味が理解できるか、認知機能の低下によるものか、学習状態によるものか
[具体例]
・新聞の字、時計の表示は読めない
・書いてあるものの理解が困難
■ノンバーバルコミュニケーション
[観察の視点]
(1)ジェスチャー
[介入評価の視点]
どんなものが多いか、こちらが行うものが理解できるか
[具体例]
・手招きしながら職員に話し掛ける
・「座る」「行く」など手で示したことの理解ができる
[観察の視点]
(2)表情
[介入評価の視点]
喜怒哀楽を表現できるか
[具体例]
・無表情、眉間にしわを寄せる、泣くなど
・表情豊か
・怒りもあるが、笑顔も見られる
[観察の視点]
(3)身体的接触
[介入評価の視点]
強いか弱いか、好きか嫌いか
[具体例]
・触れ方が弱々しい
・あまり好きではない
[観察の視点]
(4)声の調子
[介入評価の視点]
明るいか暗いか、相手によって変わるか
[具体例]
・明るいことが多く、声は大きめ
・職員へは友好的
・他利用者へは「ばか!」「なにやってんだ!」など口調が強い
[観察の視点]
(5)しぐさ
[介入評価の視点]
不安なときに出るしぐさ、安心しているときに出るしぐさ
[具体例]
・他者に向かってネガティブな発言をする
・他者に優しく話しかける
[観察の視点]
(6)距離
[介入評価の視点]
心地よい距離、不快な距離
[具体例]
・隣に職員がいるのは嫌ではない
・一人になる時間が長いのは嫌
[観察の視点]
(7)体の位置や向き
[介入評価の視点]
心地よい体勢、不快な体勢
[具体例]
・背筋をピンとして背もたれには寄りかからない
・不安なときは座りが浅い
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