食事の際、
「おいしかった!」
「おいしくなかった…」
という感想は言っても、
「食事が進んだ」
「食事があまり進まなかった」
という感想を言う方はあまりいないと思います。
しかし、「おいしかった!」と思えた時は、その食材や料理だけでなく、食事をする「環境」「雰囲気」「人」「音」「会話」などもおいしさを引き立てていることを忘れてはいけないと思います。
環境が食欲を左右する、味を変える
例えば焼肉を食べるとき、自宅などの室内で食べるより、屋外でバーベキューをしながら食べるほうが、同じお肉・同じ調理方法で食べているのに、おいしく感じたり食欲が増すという経験があると思います。
屋外でのバーベキューは、開放的、会話がある、動きがある、炭を使って網の上で焼くなどの良さがありますが、お皿は紙やプラスチックを使うことが多く、陶器などの食器でいただく室内での食事に比べて道具の質はやや劣ります。
つまり、食事環境とは【物】の価値感ではなく、職員が利用者さんに
「楽しんで食べてほしい」
「おいしいと思いながら食べてほしい」
といった気持ちを反映させることが大切なのです。
食べてもらうことは大切ですが、その前に、食事をする環境を整えるということが必要です。
雰囲気づくりを考える~人~
雰囲気をつくるのは、まず「人」です。
介護施設では「職員」がその役割を担います。
職員が利用者さんの食事の摂取状況なども含めてキチンと理解したうえで、職員自身に必要なスキル【表情・動き・見守り】を考えてみます。
◆表情◆
無理な作り笑いやオーバーな表情は、食事のときにはなくてもよいでしょう。
食事の場の雰囲気に合わせ、適切で無理のない笑顔で接しましょう。
◆動き◆
バタバタと忙しない動きをしないのは当然のことです。
動きが激しいとホコリが舞いますし、人の動きが気になって食事がおろそかになる利用者さんもいます。
動きすぎないことは大切ですが、じっと立ったままフロアで見守るのも良くありません。
◆見守り◆
座って行うのが原則と言われていますが、ただ座って話を適度にしながら見守る職員が多く見られます。
悪くはないのですが、もう一歩踏み込んで考えていきましょう。
食事のとき職員が
「今日はエビフライですね。おいしいですか?」
と尋ねる場面がありますが、このとき職員自身も食べながら、もしくは飲み物だけでも飲みながら尋ねているでしょうか?
一緒に食事をしながら、という施設ばかりではないと思いますが、飲み物くらいは可能だと思います。
利用者さんは自分ばかりが食べる、先に自分が食べている、ということに「申し訳ない」とか「悪いな」と思う方が多いのです。
だから飲み物も用意せずに食事のことを尋ねていると、
「もう食事したの?」
「ちょっと分けてあげようか?」
「お腹いっぱいやからこれあげる」
など、いろんな形でこちらが食べてないことを気遣い、そして一緒に食事を楽しもうとしてくれます。
気遣いをし過ぎると利用者さんの食欲にも影響が出ますので、食事の場面を一度思い返してほしいと思います。
利用者さんは職員が飲み物を飲んでいる姿に安心して、「おいしいよ」と言ってくれます。
何もないままでも同じように「おいしいよ」と言ってくれることもありますが、気持ちの部分で差があることに気付いてほしいのです。
利用者さんは職員を見ています。
【情報提供元】
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