認知症の利用者の暴力行為でほかの利用者が骨折!
Sさん(77歳・男性)は、アルツハイマー型認知症の利用者で、半年前からデイサービスを利用しています。
Sさんは介護拒否や暴力などのBPSDの症状が激しく力も強いため、自宅での対応に困った娘さんがかかりつけ医に相談すると、以前から処方されている抗認知症薬(ドネペジル塩酸塩)に加えて抗精神病薬(リスペリドン)を処方されました。
デイサービスでは注意して見守るようにしていましたが、ついにほかの利用者にけがをさせる事故が起きました。
ある日、いつものように些細なことでSさんが怒り始め「お前なんかぶっ殺してやる」とわめき、近くにいた利用者のY さんにつかみかかりました。
職員のシゲルさんがすぐにS さんを羽交い締めにして引き離そうとしましたが、Sさんの肘打ちを受けたシゲルさんは転倒し、Sさんに強く押されたYさんは倒れて大腿骨を骨折してしまいました。
施設長は被害者Y さんの息子さんに謝罪し、「加害者の家族には治療費などを賠償するようきちんと話します」と説明しました。
ところが、加害者Sさんの娘さんに治療費などの損害賠償を求めると、「デイ利用中に起こったことだから事業所の管理責任よ」と言って支払いを拒否しました。
認知症利用者の加害事故は、事業所にも責任がある
本事例の事業所は「利用者同士の加害事故の責任は加害者の家族にあり、私たちには責任がない」と考えていますが、これは間違いです。
まず、認知症利用者が加害事故を起こした場合の賠償責任について確認しておきましょう。
認知症利用者による加害事故の賠償責任について
・認知症が重く判断能力がない利用者は、自ら行った加害事故について法的な責任を負わない
・通常、家族が法的監督義務者に準ずる立場の者として賠償責任を負うことになる(民法714条「法的監督義務者の責任」)
・家族の依頼を受けて事業所が利用者を預かっている間に起きた加害事故に対しては、利用者を管理・監督している事業所が家族と連帯して責任を負う(民法714条2項「代理監督義務者の責任」)
事業所は転倒事故などの介護事故と同様に、防止対策を講じなければなりませんし、事故が起きたときには賠償義務が生じる場合もあります。
本事例で施設長は、Sさんの加害事故を他人事のように考えていますが、事故の当事者として対応すべきです。
Sさんの娘さんに支払い能力がなければ、被害者は事業所に賠償責任を追及できますから、事業所はこの損害賠償金を支払わなくてはなりません。
Sさんの暴力行為の要因は何か?
Sさんの暴力行為は認知症によるBPSD が要因と考えられますが、BPSD が起こること自体にも要因があります。
例えば、暴力行為は次のような要因が多いといわれています。
・服薬の悪影響(抗精神病薬など精神に作用する薬剤や強い副作用によるもの)
・持病などで体調が悪く、痛みなどの苦痛があるのに周囲に理解してもらえないことへの不満
・職員の言葉かけや対応などに過剰に反応し、興奮してしまう
・過ごしている環境が落ち着かない
・人の役に立っていない、邪魔に思われているなどの思い込みで、劣等感や焦燥感を抱いている
・自分はもっと大切に扱われるべきだという不満がある
・周囲になじめず、疎外されていると感じている
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