認知症利用者が行方不明に!
地域へも協力を仰ぎ、3日後に無事発見
ある日、職員のシゲルさんは、認知症の利用者Yさん(75歳・男性)が見当たらないことに気付きました。
シゲルさんはデイルームの職員全員に聞こえるように「Yさんがいません。所在確認をお願いします」と伝え、すぐに全員がトイレなどを見て回りました。
デイルーム内で見つからないため、職員2名はデイの前の国道を南北に走って10分間探し、デイでは相談員が防犯カメラを再生して、Yさんがエントランスを出て行ったことを確認しました。
このデイでは、利用者の行方不明事故が発生したときの捜索方法がすべてマニュアル化されていたため、全職員がすぐにマニュアル通りに行動しました。
警察への捜索願の提出はもちろん、各公共交通機関への連絡や周辺事業所に捜索チラシの配布を行うなど、ありとあらゆる手段を講じました。
職員の必死の捜索と、さらには地域を巻き込んだ捜索によって、行方不明発生から3日後の早朝にYさんは無事保護されました。
法人本部から市内の他介護事業者に協力を依頼したところ、チラシを見ていた訪問介護のヘルパーが自転車で移動中にYさんを発見してくれたのです。
防げない事故なのに賠償責任を問われ
認知症の利用者が行方不明になり、もし事故に遭遇したら、事業所は責任を問われるのでしょうか?
答えは「過失として賠償責任を問われる」と考えてください。
最近は、暗証番号付きのエレベーターなど、事業所のセキュリティが強化され、利用者が外に出て行かないような対策が取られています。
しかし、どんなにセキュリティ対策が万全でも、行方不明事故は起きていますから、これは防げない事故であると考えた方がよいでしょう。
防げない事故なのに責任は問われるのです。
では、どのように対応したらよいのでしょうか?
大切なのは、行方不明自体は防げないことを前提に、対応をマニュアル化することです。
「行方不明が発生しても無事に保護する」ための対策を講じ、ありとあらゆる捜索を行って、行方不明者の早期発見を目指すのです。
付近の捜索と家族連絡・捜索願など
・行方不明に気付いたらすぐに、全職員に「〇〇さんの所在確認をお願いします」と声を掛け、迅速に事業所内の所在確認作業を行う(5分間)
・職員2名が事業所前の国道を南北に分かれて10分間捜索し、見つからなければ速やかに戻る
・相談員がエントランスの防犯カメラをチェック→姿が映っていれば、その日の服装や特徴などを確認する
・管理者が家族に報告して謝罪し、了解を得て警察に捜索願を提出 (捜索願を出すことに家族が戸惑っても、本人の生命の安全を強調して説得する)
・職員でデイの周辺1キロ圏内を60分間捜索する
・定めた範囲の幹線道路を3名の職員で念入りに捜索する
・相談員が家族に捜索チラシ(本人の顔写真入り)の配布の了解を求める(写真を嫌がる家族もいるが、顔写真を公開しないと見つからないことを強調する)
・市の介護保険課を通じて「認知症高齢者等の見守り・SOSネットワーク」に登録し、捜索システムを活用する
・法人本部に連絡してほかの事業所からの応援を5名要請し、 本部職員に市内の介護事業者などへの捜索協力要請の連絡をするよう依頼する
・事務職員が交通機関や公共機関に電話で捜索協力を依頼し、FAXで顔写真を送る(依頼先:鉄道の駅・バス会社・タクシー会社・市の介護保険課・市社協・地域包括支援センターなど)
【情報提供元】
月刊デイ
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