財務省は2022年4月13日に財政等審議会を行いました。
当日の議題は以下の5点でした。
【1】社会保障総論
【2】年金
【3】医療
【4】介護・障害
【5】雇用・生活支援
その中でも介護についての意見は以下の通りとなっています。
<1>経営の大規模化、協働化
<2>介護現場の業務負担軽減と人員配置の効率化を実現する
→ロボット・AI・ICT等の実用化の推進
→タスクシフティング、シニア人材の活用推進
→文書量軽減などの組織マネジメント改革などの業務効率化
<3>効率的運営をしている事業所をメルクマークとして介護報酬を定めていく
→小規模事業所が多く、競争がサービスの質向上に繋がっていると言い切れず、業務の効率化も不十分
→大きい法人ほど平均収支率が高く、費用面の効率化が重要
→国が先進・優良事例を示して「備品一括購入」「請求事務等の共通化」「効率的な人員配置」といった、費用構造の改善、更にはその実現に資する経営の大規模化、協働化を慫慂(しょうよう=しきりに勧めること)していくべきである
<4>介護サービスでも財務諸表等の財務状況の報告・公表の義務化、経営の見える化
→利用者負担を原則2割にすると共に2割負担の対象者を拡大する
→3割負担の判断基準を見直す
→介護給付の範囲の見直し(居宅介護支援に利用者負担導入、福祉用具のみのケアプランは報酬の引き下げ)
<5>老健、介護医療院、介護療養病床の多床室を自費へ
<6>支給限度額の対象外の加算の見直し
<7>予防事業の厳正化
→75歳以上高齢者の伸び率の範囲内で事業費を賄うこと
<8>要介護1.2の訪問介護、通所介護を地域支援事業へ移行する
<9>居宅管理指導料の適正化
→通院が困難な者へのサービス提供となっているか把握する、適正化する
<10>指定拒否の権限強化
会長:妹尾弘幸の雑感
財政審の意見内容は今までと大きく変わりませんでしたが、細かい表現で気になる点は、<2>で出てきた「人員配置の効率化」です。
令和2年度に「人員配置の効率化」という表現が出てきてから、新しい攻め口として「人員配置の効率化」を進めようとしています。
「人員配置減→人件費減→報酬減」の構図を狙っているのかもしれません。
また、大きい法人は収支率が高く、良い介護事業所のような構図になっていますが、収支率をもって、大きい法人が介護保険の理念に即した良い介護を提供していることにはなりません。
逆のこともあるでしょうし、一見収支が悪い小さい事業所の方が効率的運営をしているかもしれませんし、良い介護をしていることが多いものです。
現場のことを十分理解しない提言がある場合は、異を唱える必要もあります。
厚生労働省の奮闘、活躍を期待します。
【情報提供元】
財政制度分科会(令和4年4月13日開催)資料一覧
【学ぶ】
■介護制度と報酬改定への対策&デイサービス見学会
https://www.tsuusho.com/ds_tour