仕事付きサ高住など、「仕事付き○○」が今増えています。
仕事デイも15年以上前からありましたが、厚生労働省が、通所サービス利用者の有償ボランティアを行う際の留意点などを「若年性認知症の方を中心とした介護サービス事業所における地域での社会参加活動の実施について(平成30年7月27日)」などで通知したことを受け、近年増加しています。
利用者が社会参加や生活の質の向上、自立支援などを目的として、事業所内外で有償ボランティアなどに取り組み、謝礼などを受け取ることができます。
仕事デイ誕生の要因
(1)地域での社会参加活動の実施に関する通知の発出
(2)農林水産業と厚生労働省による「農福連携」推進
(3)地域貢献活動の推進
(4)高齢者雇用の増加、比較的若い利用者の増加
(5)利用者獲得のための「ウリ」の創出 など
訓練か労働か
有償ボランティアなどの仕事は、機能訓練や社会参加といった大前提に反して「ただ働き」「強制労働」に該当する危険性があります。
善意ある事業者ばかりなら問題ありませんが、わずかとはいえ以前から悪質な事業者は後を絶ちません。
デイの活動が「労働」と判定された場合は、「労働基準法」「労働安全衛生法」などの労働関係法規の遵守が求められますし、定款等の改定も必要です。
損害賠償保険の適用になるかも検討しなければいけません。
有償ボランティアなどが、労働と判断されるケースもあります。
厚生労働省によると、以下のような場合は労働基準法第9条の「労働者」に該当する場合があり、その場合は労働基準関係法令や最低賃金法が適用されることになります。
・活動日や活動時間、活動を行うことについて指示があり、活動を行うことについて、利用者に諾否の自由がない
・活動時間の延長、活動日以外の活動指示が行われている
・活動の割り当て、活動時間の指定、活動の遂行に関する指揮命令違反に対して減額などの制裁がある
・欠席、遅刻、早退に対する減額などの制裁がある
・一般の労働者と明確に区分されていない
訓練か労働かといった研究は少ないのですが、富永は「日本認知症ケア学会誌 2022.1 511-518」の中で、「教育・訓練的な作業に従事する者」の労働契約法・労働基準法等上の判断について、以下のように述べています(一部抜粋)。
使用されて(指揮監督下を受けて)生産活動に従事し利益が上がっている場合、通常は報酬が合意されるが、それが合意されない場合には、
ア. 教育訓練の提供者(役務の受領者)にその活動からの利益が帰属していないか
イ. 教育訓練の提供者(役務の受領者)が他の非金銭的な形で報酬を与えている
ことが考えられる。
アであれば、雇用契約から外れるという処理が妥当と思われるが、イであれば厳格に当事者間の自由な意思の合致を審査すべきである。
(たとえば、~略~ 作業従事者の訓練や経験の蓄積の機会等を理由に(対価に)「当面の間」金銭での報酬を支払わないという場合、無形の訓練機会の提供が報酬となっているととらえ、民法上の労働者であると構成することが検討されてよいようにも思われる)
【情報提供元】
月刊デイ2022年4月号特集記事「デイサービス・通所リハビリ必見!通所サービスのこれから」
【学ぶ】
■介護制度と報酬改定への対策&デイサービス見学会
https://www.tsuusho.com/ds_tour