生活期におけるアプローチのポイント
生活期においては、個々に異なる生活課題を理解し、心身機能・活動・参加へバランスよくアプローチし、生活機能を改善していきます。
生活目標のない機能訓練のみでは、失敗体験により自信を失い、自己効力感が低下します。
結果、生活空間が広がらず廃用症候群が進行し、心身機能が低下する悪循環となります。
まずは、小さな成功体験を積み重ねて、目標達成を実感してもらいましょう。
歩けないために閉じこもっている人へのアプローチ
閉じこもりの要因
閉じこもりの要因として以下の3点が挙げられます。
[1]身体的要因(歩行能力・IADL・認知機能の低下など)
[2]心理的要因(主観的健康観の低さ、ADLに対する自己効力感の低さ、うつ傾向、生きがいがないなど)
[3]社会・環境的要因(高齢である、集団活動へ不参加、社会的役割の低さ、友人がいないなど)
かかわり方のポイント
麻痺や歩けないなど身体的要因のできない部分(弱み)のみに着目するのではなく、「○○をしたい」「○○が大好き」など心理的・社会的要因の主体性や意欲(強み)を取り戻せるようにかかわることが大切です。
また、家族に対しセラピストの視点でかかわり方をアドバイスすることも効果的です。
やりたいことを全力でサポート!
<Step1>
ちょっとした思いを引き出す
例えば、主体性に乏しく、何もやりたくないという方から、「ゴムズボンでなく、ファスナー付きズボンを履きたい」という「思い」が聞かれたら、「生活課題」として受け止めます。
<Step2>
思いを家族・スタッフ間で共有し、目標として設定・実行
家族や介護スタッフと一緒に生活課題を共有し、目標として全員で取り組むようにします。
生活課題が「ファスナー付きズボンを履いて過ごしたい」なら、生活目標を「ファスナー付きズボンを履いてトイレ動作、更衣動作が一部介助でできる」とし、介助方法を共有、統一していきます。
介助量は増えますが、本人のやりたいことに寄り添い実現したことは、本人・家族にも声かけや連絡ノートなどでフィードバックするようにします。
<Step3>
成功体験を次の目標につなげる
「やりたいことができた」という成功体験となり、次の新しい目標が生まれます。
強み・生きがい・自己実現を支援することが、さらなる生活空間の拡大につながります。
生活課題を明確にし、意欲を引き出す目標設定例
■不明確な例
<生活課題>
片麻痺のため移乗に介助が必要
<生活目標>
安全に外出できる
<訓練>
?
■明確な例
<生活課題>
カフェへ行きコーヒーを飲みながら、楽しい時間を過ごす
→生活目線の課題を抽出・意欲的な強みを考慮した視点
<生活目標>
・妻と一緒にカフェに行く
・注文を自分の言葉で伝える
→生活課題の解決に向けた具体的な目標を設定
<訓練>
→外出訓練
→言語訓練
【情報提供元】