2024年の次期介護保険制度改正に向けた社会保障審議会・介護保険部会が2022年5月16日に開かれ、地域共生社会や地域包括ケアシステムの深化・推進、介護ニーズの増大と労働力の制約への対応・制度の持続可能性の確保を基本的な考え方に据える方針が示されました。
厚生労働省は論点として「介護人材の確保や現場の生産性向上」「給付と負担のあり方」「保険者機能の強化」「自立支援・重度化防止の推進」などを改めて提示しています。
あわせて「介護サービスの基盤整備」「住まいと生活の一体的な支援」「医療と介護の連携強化」「認知症施策の展開」「家族を含めた相談支援体制の構築」「介護予防・社会参加活動の充実」なども上がっています。
制度改正の骨格は年内に固まる予定となっており、利用者負担の引き上げなどは夏の参議院選挙後、議論の争点となりそうです。
議論の整理
【1】全世代型社会保障の構築に向けて
【2】男女が希望どおり働ける社会づくり・子育て支援
→男性の育児休業の取得促進に向けて、本年10月に施行する「産後パパ育休制度」の十分な周知と検証が必要。
→非正規雇用労働者について、育児休業に係る権利を希望に応じて行使できるよう、本年4月に施行する改正育児・介護休業法による労働者への休業の意向確認、雇用環境整備及び 有期雇用労働者の取得要件緩和等を徹底することが重要であり、必要に応じて更なる対応を検討。
→短時間勤務制度についてもキャリア形成に配慮しつつ希望に応じて利用できる環境整備 が必要。
→「新子育て安心プラン」等に基づく保育サービスの基盤整備や放課後児童クラブの整備等を着実に実施。
→短時間労働者等が保育を利用しづらい状況を改善する必要。
→今通常国会にこども家庭庁の創設に関する法案及び児童福祉法等の改正法案が提出されているが、これらを含め、こどもが健やかに成長できる社会の実現に向け、様々な事情を抱えたこども・妊産婦・家庭をはじめ、子育て支援の強化を検討。
【3】勤労者皆保険の実現
→働き方の多様化が進む中、勤労者皆保険の実現に向けて取組を進める上で、使用されて いる勤労者であれば、被用者保険(厚生年金・健康保険も同じように適用されることを目指すべき。
→企業規模要件の段階的引下げなどを内容とする令和2年年金制度改正法に基づき、被用者保険の適用拡大を着実に実施する。
→企業規模要件の撤廃も含めた見直しや非適用業種の見直し等を検討すべき。
→フリーランス・ギグワーカーへの社会保険の適用については、まずは、被用者性等をどう捉えるかの検討を進めるべき。
【4】女性の就労の制約となっている制度の見直し
→社会保障や税制、企業の諸手当などについても働き方に中立的なものにしていく必要。
→被用者保険の適用拡大は、いわゆる「130万円の壁」を消失させる効果がある。
→「106万円の壁」についても、最低賃金の引上げを図ることにより、ある程度問題解決が図られる状況になりつつある。
【5】家庭における介護の負担軽減
→圏域ごとの介護ニーズの将来予測を踏まえた介護サービスの基盤整備を着実に実施。
→男女ともに介護離職を防ぐための対応が必要。
→認知症を抱える方の家族やヤングケアラーを含め、支援を行う方に対する支援を行う必要。
【6】地域共生社会づくり
→多様な困難に陥っている方に対するソーシャルワーカーによる相談支援や、多機関連携による総合的な支援などにより、地域住民が地域で安心して生活を送ることができるようにすることが重要。
→今後、独居の困窮者・高齢者等の増加が見込まれる中にあって、医療・介護・住まいの在り方を一体として考えていく必要。
→ハードとしての住宅の提供のみならず、地域とつながる居住環境や見守り・相談支援の提供をあわせて行うことも重要。
→空き地・空き家の活用やまちづくりの視点から各地方自治体において地域の実情に応じた対応を検討することが重要。
【7】医療・介護・福祉サービス
→ICTの活用により、サービスの質の向上、人材配置の効率化などを進めることが重要。
→電子カルテ情報及び交換方式等の標準化を進めるとともに、健康診断等で得られる個人の医療情報を、自分で管理・活用することができる将来像を見据え、個人・患者の視点に立ったデータ管理の議論も重要。
→効率的な医療の提供や、患者の利便性の向上にもつながるとともに、創薬などの研究開発の促進にも資する。
→医療・介護提供体制改革などの社会保障制度基盤の強化については、「地域完結型」の医療・介護サービス提供体制の構築を進めるとともに、地域医療構想の推進などこれまでの骨太の方針や改革工程表に沿った取組を着実に進める必要。
→コロナ禍で顕在化した課題や得られた教訓も踏まえ、機能分化と連携の視点を一層重視した医療提供体制等の改革を進める必要。
【情報提供元】
第93回社会保障審議会介護保険部会
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_25625.html
デイの管理者&リーダー「だよりね」
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